えっ?減塩は高血圧改善に効かないって本当?
たまにネットで見かける減塩が高血圧に効かないよって記事。あれって本当なんでしょうか?
減塩の普及は世界的な流れ
日本人の塩分摂取量は世界的にも多い事が知られています。
男性では、1日に平均11g摂取していますが、
欧米のいくつかの国々では、1日あたりの塩分量を6g以下にするよう推奨していますし、WHO(世界保険機関)が推奨する塩分摂取は1日5g以下です。
このような世界的な流れの影響もあっての事からか、厚生労働省も塩分摂取の推奨値を2015年からより厳しいものに変更となりました。
男性:2010年版 9.0g/日未満 → 2020年版 7.5g/日未満
女性:2010年版 7.5g/日未満 → 2020年版 6.5g/日未満
このように減塩は万国共通で健康の為には当然必要と認識されていますが、一部で『高血圧を改善しない』との意見も聞かれます。
これは本当なのでしょうか?
減塩は高血圧に効かない?
減塩をしても血圧を下げる効果がないとの意見があります。
ある調査結果によると世界の地域で塩分摂取量と血圧の関係を調べた所、食塩摂取量が多い地域ほど、血圧が高い事が分かっています。
(「食塩と健康の科学」講談社 2001)
減塩で血圧が下がるかは個人の体質にも関係しています。日本人には塩分を摂るとそれに反応し、血圧があがりやすい「食塩感受性」体質の人が多いと言われています。日本人に高血圧が多いのは、日本人の塩分摂取の多さと、食塩感受性体質タイプの多さだと考えられています。
食塩感受性とは?
一方全ての人が塩分を摂取すると高血圧になるわけではありません。「食塩非感受性」体質の人は、塩分を摂っても血圧の低下の効果が少ないと言われています。
しかしだからと言って減塩が必要ないわけではありません。
腎臓は、通常塩分を摂ると余分な塩分を尿と一緒に排出する役割をしてくれます。しかし塩分を摂りすぎると腎臓い負担が大きくなり、塩分を体の外に排出する機能が弱くなり、結果的に血量が増えて血圧が高くなります。
この事から「食塩非感受性」体質の方も減塩は必要だと分かります。血圧上昇以外にも、ガンや腎臓病など塩分の摂りすぎが引き起こす様々な病気があります。
食塩を全くとらない民族のお話
また、とても面白い事例があります。
ブラジルのアマゾン源流に住むヤノマミ族は食塩を全くとらない民族として知られています。
塩分と高血圧の関係を調査する国際研究団体である「INTERSALT」によると、彼らには、高血圧の症状が全く見られず、年齢の経過によっても血圧が上昇しないという調査結果があります。
このように食塩と高血圧の関係は非常に大きく、体質の違いはありますが、塩分の過剰摂取を改める事で、多くの方に血圧を下げる効果はあると考えられます。