1日の塩分摂取量と減塩の目安は?【2024年最新版】
公開日 2020年4月5日
更新日 2024年5月18日
高血圧や様々な病気のリスクを高める塩分。
まずは一日の塩分摂取量を6g未満にすることを目標にしてみませんか。
【監修医師】
消化器内科 総合内科専門医
関口 雅則 先生
目次
【動画】1日の塩分摂取量の目安は?
日本人の塩分摂取量は?
私達が普段食べている和食は、無形文化遺産 「無形文化遺産とは?」
(ユネスコ・アジア文化センターより引用)
長年にわたって世代から世代へと受け継がれる貴重な贈り物であり、しばしば人々の文化的アイデンティティの基盤及び想像力の源泉となります。歴史的建造物や考古学的遺跡等の有形文化遺産とは違って、無形文化遺産は人の身体と魂を媒介として受け継がれます。そのためにこれらの遺産は壊れやすく、グローバリゼーション等の要因によって引き起こされる生活様式や社会の価値観の変化に影響されやすいのです。 となり世界的にもヘルシーで健康的なイメージで大変注目されています。
一方で醤油や味噌などを使った伝統料理が多く、塩分が非常に高い料理が多いのも特徴です。
また、近年はライフスタイルの変化からファーストフードや外食・加工食品などを利用する人が多く、塩分を多く摂取しがちです。
では、日本人は一体どのぐらいの塩分を1日に摂取しているのでしょうか?
日本人の1日あたりの平均塩分摂取量
男性 ・・・・・ 11g
女性 ・・・・・ 9.3g
厚生労働省平成30年『国民健康・栄養調査』
1日の塩分摂取量と減塩の目安は?
日本人の平均の塩分摂取量が分かりましたが、ではどのぐらい減塩すれば良いでしょうか?
いくつかの機関の塩分摂取量の基準を参考に示しましたので、参考にしてみて下さい。
1日あたりの塩分摂取量の目標値(成人)
【厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(20年版)」】 | 男性・・・・7.5g未満 女性・・・・6.5g未満 |
---|---|
【高血圧の方の目安】*1 | 6g未満 |
【腎臓病患者の目安】*2 | 3〜6g未満 |
【人工透析患者の目安】*3 | 6g未満 |
【WHO世界保健機関の食事摂取基準】 | 5g未満 |
*1 高血圧学会の目安(2019年)
*2 慢性腎臓病に対する食事療法基準(2014年版)
*3 慢性透析患者の食事療法基準(2014年版)
※ 持病の方は、かかりつけ医に食事の塩分量をご相談下さい。
1日の塩分摂取量(食塩摂取量)の基準は、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、男性7.5g未満、女性6.5g未満としている。また日本高血圧学会では1日6g未満、WHO(世界保健機関)では1日5g未満としています。
色々な基準と照らし合わせてみると1日の塩分量をもっと減らさないといけない事がよくわかりますね。
また、WHO(世界保健機関)の基準はとても厳しく、この基準を元にすると日本人は塩分量を半分以下にする必要があります。
このWHOの基準は高血圧やガンとナトリウムの関連についての様々な研究から導かれており、欧米などの先進国では基準の一つとなっています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」は、前回の2015年版から食塩摂取量の基準が男女共に0.5g引下げられました。この食塩摂取基準は、改定の度に引き下げられています。
「日本人の食事摂取基準」が変わると全国の学校給食などが一斉にその基準に沿って減塩が進みます。
また食品メーカーやコンビニやスーパーなどの惣菜なども、この基準に合わせて少しずつ減塩が進んでいます。
WHO(世界保健機関)が5g未満を推奨している事から、今後も厚生労働省の食塩摂取基準はさらに少しずつ下がっていく事が予想されます。
健康な方がこの1日5g未満にすぐにする必要がある訳ではありませんが、食事の際には塩分を意識し、 自分が食べる食事の1日の塩分量を計算しながら食事をする事で、『減塩食』に努めましょう。
減塩をすすめる事で、様々な病気の予防にも繋がります。
これらの基準を是非参考に日頃の食生活を見直すきっかけとしてみて下さい。
【動画】1日の塩分摂取量の目安は、どの基準を使えばいいの?
なぜ1日の塩分摂取の基準はバラバラなの?
先ほども説明したように、それぞれの機関が出してる塩分摂取の基準は、バラバラです。
日本の厚生労働省が出してる基準が一番甘くて、一番厳しいWHOの基準と比べると男性で2gも差があります。
実際に減塩をしようと思っても、どれを基準にしたらいいのか迷ってしまいますね。
どうして基準はバラバラなのでしょうか?なぜ厚生労働省の基準は、一番あまいのでしょうか?
実際に厚生労働省の【日本人の食事摂取基準2020年版】の資料を見てみると、
国民健康・栄養調査の結果を見ると、日本人の食塩摂取量は、前回(2015 年版)設定した目標量には達していないものの、減少傾向にある。我が国を始め各国のガイドラインを考慮すると高血圧の予防、治療のためには、6 g/日未満の食塩摂取量が望ましいと考えられることから、できるだけこの値に近づくことを目標とすべきであると考えられる。
と書かれています。
つまり、厚生労働省の【日本人の食事摂取基準】でも、高血圧予防や治療の為には、1日6g未満に減塩するべきだと考えている事が分かりますね。
さらに
2012 年の WHO のガイドライン 3)が成人に対して強く推奨しているのは、食塩相当量として5 g/日未満であるが、(中略) 習慣的な摂取量として 5 g/日未満を満たしている者は極めて稀であると推定される。したがって、目標量を 5 g/日未満とするのは、実施可能性の観点から適切ではない。そこで、実施可能性を考慮し、5 g/日と平成 28 年国民健康・栄養調査における摂取量の中央値との中間値をとり、この値未満を成人の目標量とした。
とも書かれています。
つまり厚生労働省の【日本人の食事摂取基準】では、本当はWHOの掲げる1日5g未満が望ましいけれど、日本人の食生活からするとこの目標は高すぎて、いきなりこの目標を掲げて減塩を呼びかけても、国民はついてこられない。
だから本当は1日の塩分摂取目標を5g未満にしたいけど、実施可能性を考えて、今は男性が7.5g、女性が6.5g未満にしてると読み取れますね。
1日の塩分摂取量の目安は、どの基準を参考に減塩すれば良い?
減塩の基準のどれを使えば良いか?
に関しては、できるならWHOの1日5g未満が望ましいと考えられます。
でも人それぞれ食生活は違いますし、現状で塩分が多い食事に慣れてる人は、無理な減塩の目標を立てても、結局続かないと意味がありませんよね?
だから健康の為に、できるなら5g未満が望ましいけど、現時点で塩分摂取量が多い人は、厚生労働省の1日男性が7.5g、女性が6.5g未満を目指してみてはいかがでしょうか?
それが無理なく続けられるようなら5g未満を目指しましょう。
また持病のある方は、塩分量を必ず医師に相談するようにしてくださいね。
なぜ減塩が必要なのか?
塩分を摂りすぎると血圧を上げる大きな原因になります。 特に日本人はさまざまな研究から 血圧と塩分量の関係が深いといわれています。
それだけではありません。塩分の摂りすぎはガンや脳梗塞・腎臓病のリスクを高めます。また味の濃いものは刺激がありすぎるのでつい食べ過ぎてしまい 肥満の原因にもなります。
【高血圧になる仕組み】
塩分の摂り過ぎは、高血圧の大きな原因の一つです。では、なぜ塩分をたくさん摂ると血圧が高くなってしまうのでしょうか?
血液にはナトリウム分が一定程度の量で含まれています。私たちが塩分(ナトリウム)の多い食事をすると、体は血液の塩分濃度を下げようと指示を出し、喉が渇きます。みなさんも辛い食事をして後で喉が渇く経験はありますよね。水分を摂る事で、血液中の塩分濃度は正常に薄まります。
一方で血液の量が増える為、血管に強い圧力がかかり心臓の負担も大きくなります。これが高血圧です。
【動脈硬化・脳卒中・心筋梗塞・腎障害のリスク】
塩分摂り過ぎなどによる高血圧は動脈硬化を引き起こします。高血圧により血管に圧力がかかると、それに耐えるように血管の壁が厚くなります。すると血液が通る道が狭くなります。これを動脈硬化と言います。動脈硬化は、脳卒中や、心筋梗塞、腎障害など様々な病気の原因となります。
【ガンなど】
日本人の2人に1人がガンになると言われますが、国立がん研究センターがん予防・検診研究センターによると塩分の摂り過ぎがガンの原因の一つとされています。
『高血圧』だけに限らず健康を考えたとき、塩分コントロールはとても大切なのです。
塩分を減らすポイント
日本の食卓には梅干しや漬物といった塩分の多い食品が沢山あります。
また、待つことなく気軽に利用できるファーストフード店を利用している方も多いと思います。
そんな普段の食生活の中で出来る塩分を減らすポイントをご紹介します。
薄い味を心掛けて慣れていきましょう
濃い味が好きな方は初めは難しいかもしれませんが、
少しづつ薄味にすることで薄味でも美味しく感じられるようになります。
加工食品はなるべく避けましょう
加工食品には食塩が多く含まれているものもあります。
最近では加工食品の栄養成分に食塩相当量が記載されているものもありますのでなるべく食塩相当量が高いものは避けましょう。
味付けを工夫してみましょう
薄味の料理でもお酢や香辛料を適度に加えると美味しく食べれると思います。
またレモンやゆずなどの柑橘系の搾り汁を加えると酸味が増し、味のバリエーションが増えます。
和食と洋食をバランスよく食べましょう
和食はヘルシーではありますが、煮物や汁物には塩分が含まれいますので、和食ばかり食べ過ぎは注意が必要です。
また、洋食は脂肪が多いですが、塩分が少なめですので、和食・洋食をバランスよく食べましょう。
出汁をしっかり取って塩分をカットしましょう
昆布やカツオでしっかり出汁を取ることによって、調味料を減らすことができますので、塩分を控えることが出来ます。
また、出汁を取ることにより旨み成分も増えますので、薄味でも美味しく感じることが出来ます。
出汁以外にも薬味やハーブなどを使うと味が引き締まりますので、上手に使いながら美味しく減塩しましょう。