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腎臓病食の方の為の低たんぱく質の食事

腎臓病食の方の為の低たんぱく質の食事

腎臓病の方のたんぱく質に配慮した食品のご紹介

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腎臓病食はたんぱく質を減らそう

たんぱく質とは?

たんぱく質は栄養素のバランスを揃える際に登場する三大栄養素と言われている栄養成分の一つです。この三大栄養素とは、糖質・脂質・たんぱく質から成り立っています。
たんぱく質は筋肉や髪の毛、爪、ホルモンなどを作る材料になるほか、体内からエネルギーを作り出す供給源にもなります。

また、人間の体を作っている成分の脂肪や水分量を除くとおよそ16%近くがたんぱく質ということが分かります。このたんぱく質を構成しているのはアミノ酸がいくつか連なったものになります。

たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類があり、塩基と呼ばれる物質の種類や並ぶ順番でアミノ酸の名称がそれぞれ変わります。これらのアミノ酸のなかで、体から作り出すことができないアミノ酸を必須アミノ酸と言います。一方、体内で作り出すことができるアミノ酸は非必須アミノ酸と呼ばれます。

たんぱく質のからだでの働き

身体から取り入れられた、たんぱく質は、細かく分かれてペプチドやアミノ酸に変わり、吸収されやすい形で体に入ります。そして、エネルギー源として利用されたり、体たんぱく質と言われる体を構成する材料になります。

腎臓病食の方の為の低たんぱく質の食事

たんぱく質を過剰に摂取した場合

体にはアミノ酸プールと呼ばれているたんぱく質の量が一定に保つことができる貯水槽のようなものが備わっています。
日常的にたんぱく質が作り変えられて新陳代謝が行われているのですが、このアミノ酸プールで一度ストックされてから様々な用途に使い分けがされます。

しかし、たんぱく質を必要以上に多く摂取してしまうと、消化吸収がスムーズに行えなくなってしまいます。
つまり、アミノ酸プールから余ったたんぱく質が溢れ出し、体脂肪に合成されてしまいます。また、たんぱく質が分解したときに生じるアンモニア、クレアチニン、尿素などの老廃物が増加し、腎臓に多大な負担をかけてしまいます。

腎臓病ではなぜたんぱく質を減らす必要があるの?

腎臓疾患の方がたんぱく質を減らす理由は、腎機能のさらなる悪化やだるさや吐き気などの症状を伴う尿毒症のリスク軽減を図るためです。

腎臓が正常に働かなくなると、たんぱく質が分解されてできる時に生じる尿素などの老廃物が体内に溜まります。その影響から血液中の尿素窒素が上昇し、腎臓に悪影響を及ぼしてしまいます。よって腎臓病食では低たんぱく質が勧められています。

もともと腎臓には糸球体と呼ばれる老廃物を濾過する毛細血管から成る球状の塊が存在しています。この糸球体は、腎臓病が悪化してしまうと糸球体で濾過する機能を遥かに越えてしまいます。濾過機能が落ちてしまうと老廃物の貯留を生じるだけでなく、本来であれば糸球体で濾過されないたんぱく質や赤血球などが尿として排出されてしまいます。

また、たんぱく尿が多くなってしまうと腎不全へのリスクが高まります。この腎不全は慢性腎臓病が悪化すると生じる病気なのです。

たんぱく質の制限値について

慢性腎臓病は病気の進行度に合わせてたんぱく制限がされています。(日本腎臓病学会 慢性腎臓病に対する食事摂取基準)慢性腎臓病の疾患は7段階に分けられています。ステージ1、2、3a、3b、4、5、5Dのように分類されています。

ステージ1と2の段階ではたんぱく質の過剰摂取を避けることが目標となっており、具体的に制限が設けられているステージは、ステージ3a〜5Dになっています。ステージ3aのたんぱく質の推奨量は体重1kgあたり0.8〜1.0g/day、ステージ3b〜ステージ5まで0.6〜0.8g/dayになっています。

しかし、ステージ5Dは透析治療に入った段階になり、血液透析(週3回)や腹膜透析は0.9〜1.2g/dayになります。ただし、透析期のたんぱく質の推奨量は体格指数や運動量、増加体重などの個人差も含めて調整されることが望ましいとされています。

健常者の場合は、1日のたんぱく質の推奨量は体重1kgあたり0.9gが目安とされています。この数値は慢性腎臓病のステージ3aとそれほど変わりがない状態です。

しかし、慢性腎臓病はステージ3bに入った段階から中等度または重度と考えられるため、厳しいたんぱく制限が必須となります。

たんぱく質を制限したら摂取カロリーが低くなる?

肉や魚などのたんぱく質を制限すると、総摂取カロリーが低くなってしまいます。では、摂取カロリーが低くなると体内ではどのようなことが起こるのでしょうか?

腎臓病食の方の為の低たんぱく質の食事

まず、カロリー不足になると体を構成する筋肉が分解されますので痩せてしまいます。また、筋肉が分解された代謝産物には尿素などの老廃物を生じますので、その影響から腎臓の糸球体を酷使してしまうことにもつながります。
したがって、たんぱく質制限をする場合は、糖質や脂質などからしっかり栄養素を摂り、摂取カロリーを上げていかなくてはいけません。

腎臓病食ではカロリーアップのための治療用の特殊食品も販売されていますので、そのような食品を普段の食事に取り入れながら活用されるのも1つの方法です。

しかし、やみくもにカロリーを上げてしまうと肥満などの病気にもつながりやすいので、慢性腎臓病であれば1日の摂取カロリーを標準体重1kgあたり25〜30kcal(日本腎臓病学会 慢性腎臓病による食事療法)を目安にしながら個人に合わせて食事管理をすることが大切になります。

塩分摂取量とたんぱく尿の関係

腎臓疾患の方は、塩分摂取量とたんぱく尿に相関関係があると言われています。

しかし、塩分摂取量が3g未満になると血管性の疾患や死亡率を高めたり、低ナトリウム血症を招いてしまうリスクがあるため、極端な塩分制限は腎臓疾患の方には勧められていません。

また、慢性腎臓病では塩分摂取量が3g以上6g未満と記されています。(日本腎臓病学会 慢性腎臓病による食事療法)
慢性腎臓病の食事療法では、塩分のとり過ぎに注意しながら薄味の減塩習慣に慣れることが大切です。そして食材が偏らないように栄養バランスのとれた食事を意識していくことも病気を悪化させない秘訣になります。

食べ物に含まれるたんぱく質は?

先ほどはたんぱく質の働きや低たんぱく質の重要性、たんぱく質の数値などをお伝えしましたが、次項は腎臓疾患を抱える方のために、さらに具体的にたんぱく質が多い食材やたんぱく質を減らすための食品の選び方、調理方法をご紹介いたします。

肉類のたんぱく質

肉類 100gあたり(生)七訂食品成分表参照

鶏ささみ肉 豚ヒレ肉 豚もも肉(脂身つき) 牛もも肉(脂身つき)(和牛) 鶏むね肉(皮つき)
23.0g 22.2g 20.5g 19.2g 21.3g
豚ロース肉(脂身つき) 牛ヒレ肉 鶏砂肝(筋胃)
19.3g 19.1g 18.3g
豚ひき肉 豚バラ肉(脂身つき) 牛バラ肉(和牛)
17.7g 14.4g 11.0g

肉類ではももやヒレなどの赤みの肉や、鶏ささみなどの脂質が少ない部位にたんぱく質が多く含まれています。
一方、バラ肉やひき肉などの脂質が多い肉にはたんぱく質が少ない傾向にあります。

肉のたんぱく質

魚類のたんぱく質

魚類(生)

いくら 春かつお 秋かつお きはだまぐろ ごまさば 大正えび
32.6g 25.8g 25.0g 24.3g 23.0g 21.7g
かんぱち しろさけ さわら 真アジ 真いわし ブラックタイガー
21.0g 22.3g 20.1g 19.7g 19.2g 18.4g
あゆ さんま やりいか まだこ ほたてがい しじみ はまぐり
18.3g 17.6g 17.6g 16.4g 13.5g 7.5g 6.1g

まぐろやかつおなどの回遊魚はたんぱく質含有量が多くなりますが、ほたてがいやしじみなどの貝類はたんぱく質がやや少ない傾向にあります。

魚のたんぱく質

卵や乳製品の類のたんぱく質

卵(生)

卵黄 鶏卵(全卵) うずら卵 卵白
16.5g 12.3g 12.6g 10.5g

卵は卵白よりも卵黄にたんぱく質が多く含まれている傾向にあります。

卵のたんぱく質

乳類

ナチュラルチーズ プロセスチーズ コンデンスミルク(加糖練乳)
28.9g 22.7g 7.7g
ヨーグルト(全脂無糖) 脱脂乳 普通牛乳 生クリーム
3.6g 3.4g 3.3g 2.0g

チーズ類はたんぱく質や塩分量が多くなりますが、生クリームなどの脂質が多い食品はたんぱく質が少なくなります。

乳類のたんぱく質

豆、大豆製品

きな粉 大豆(乾) 油揚げ あずき(乾) 糸引き納豆
36.3g 33.8g 23.4g 20.3g 16.5g
厚揚げ(生揚げ) 木綿豆腐 生おから 絹ごし豆腐 豆乳
10.7g 6.6g 6.1g 4.9g 3.6g

大豆を粉砕してから製造されるきな粉や、大豆そのものを食べる食品はたんぱく質が多くなります。
一方、大豆を加工して製造される豆腐やおから、豆乳などはたんぱく質が少ない傾向にあります。

種実類のたんぱく質

種実類

落花生(ピーナッツ)(乾) アーモンド(乾) ごま(乾) くるみ(煎り) ぎんなん(生) くり(生)
25.4g 19.6g 19.8g 14.6g 4.7g 2.8g

落花生やアーモンドなどのナッツ類はたんぱく質が多く含まれていますが、ぎんなんやくりなどの炭水化物が多い食品はたんぱく質が少ない傾向にあります。

種実類のたんぱく質

意外とたんぱく質が多い食材

たんぱく質が多く含まれている食材と聞くと肉や魚をイメージする方もいらっしゃるかもしれませんが、普段私たちが主食にしている穀類や野菜にもたんぱく質が多く含まれているものがあります。

例えば、小麦粉であれば含有するたんぱく質が水と結合するとグルテンを形成し、パン作りに欠かせない成分となっています。また、枝豆やそらまめなどの炭水化物を多く含む野菜はたんぱく質が多い傾向にあります。このように、おかず以外の食品にもたんぱく質が含まれていることに注意して食品選びをすることが大切です。

意外とたんぱく質が多い食材

穀類

パン粉 強力粉(1等) マカロニ・パスタ(乾) そうめん・ひやむぎ(乾) 食パン 餃子の皮
14.6g 11.8g 12.2g 9.5g 9.3g 9.3g
中力粉(1等) 玄米 もち米 精白米 中華麺(茹で) そば(茹で)
9.0g 6.8g 6.4g 6.1g 4.9g 4.8g

野菜類

枝豆 そらまめ グリーンピース にんにく わさび
11.7g 10.9g 6.9g 6.4g 5.6g
モロヘイヤ 菜の花 ブロッコリー とうもろこし(スイートコーン) とうがらし
4.8g 4.4g 4.3g 3.6g 3.4g

たんぱく質を減らす食材の選び方

主食に含まれているたんぱく質をできるだけ減らす

パンや玄米などにはたんぱく質が多く含まれているため、たんぱく制限では精白米や白滝、春雨などを取り入れることがおすすめです。
例えば、ご飯を炊くときに細かく切った白滝や春雨などを加えて炊くとかさが増してボリューム感がアップします。

栄養価の高いたんぱく質を選ぶ

腎臓疾患の方にとってたんぱく質の量を減らすことが重要になりますが、それだけでは栄養不足になりかねません。
そのため、低たんぱく質の食事を実践しながら、たんぱく質の栄養価が高い食品を選ぶことが大切です。

なぜなら、良質なたんぱく質を摂ると筋肉合成がされやすくなり、筋肉量の低下を防いでくれるからです。

良質なたんぱく質とは、前述にもあるように必須アミノ酸がバランス良く配合され、アミノ酸スコアが高い食品のことを言います。
アミノ酸スコアが高い食品は、豚ロース、アジ、鶏卵、牛乳、大豆などがあります。
したがって、アミノ酸スコアも意識できるとさらに食事の栄養価も高まります。

たんぱく質を減らす食材の選び方

治療用特殊食品を上手に使用する

低たんぱく質の食事を上手くコントロールをするために、腎臓疾患の方向けに販売されています。種類にはたんぱく質調整食品やエネルギー補給食品などがあります。

たんぱく質調整食品には、たんぱく質が普通のご飯と比較して1/25〜1/35に少なく調整されている「ゆめごはん」や低たんぱくで減塩のおかずなどがあります。

たんぱく質量を抑えるとカロリー不足が懸念されます。そのため、ゼリーや飲料などの嗜好品で摂取カロリーを補う検討しましょう。

たんぱく質を減らす調理方法は?

たんぱく質を減らしながら見た目のボリュームをアップさせる。

肉や魚などのたんぱく質を減らした場合、お皿にのせるとボリューム感が足りなく貧相に見えてしまいます。

そこで、野菜に豚肉を巻いて炒めたり、野菜を多めにした串焼き、魚と野菜を一緒にホイル焼きにしても良いですね。

それから、海老などは尾や頭がついていると少ない量でも豪華で華やかな印象を与えるので、取り除かずそのまま盛り付けすると良いでしょう。

*カリウムの制限がある方は、野菜を使う際にはカリウム量も注意しましょう。

丼ものや麺類などおかずが少なくても満足できるメニューを増やす。

1日3食のうち1食でも混ぜご飯やチャーハン、ドライカレーなどの1品料理を取り入れられると、たんぱく質のおかずの量を減らすことができます。
ご飯や野菜でかさ増しができると、たんぱく質が少なくても満足感を得られやすくなります。

家族と同じメニューは引き算、足し算で上手に調整

毎日、家族と違うメニューを作るのは大変で、腎臓病食がなかなか続かないといった声も良く聞きます。
ですので、家族と同じメニューを上手く腎臓病食に変換していけると理想的です。

例えば、天ぷらにする時は、魚や魚加工品は減らして野菜のかき揚げなどにしたり、お寿司の時は、魚類の握り寿司を少な目にしてちらし寿司なども選んだりするのも良いでしょう。

このようにちょっとしたひと工夫ができると家族と一緒のメニューが食べられるので食事療法が長続きしやすくなりますね。

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