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腎臓病食の方の為の低リンの食事

腎臓病食の方の為の低リンの食事

腎臓病の方のたんぱく質に配慮した食品のご紹介

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腎臓病食はリンを減らそう

リンのからだでの働き

体内のリンの85%がマグネシウムやカルシウムなどと一緒に歯や骨などの体に重要な構成成分になっています。
その残りの15%は脂質やタンパク質と結合し、脳や筋肉などの組織に含有されており、エネルギーを作り出す時に必要な栄養素になります。

腎臓病ではなぜリンを減らす必要があるの?

腎臓疾患の方が、リンを減らす必要があるのは、通常であれば腎臓から尿として排出されなくてはいけないリンが血中に溜まり、血液中のリンの濃度が上昇してしまい、高リン血症(血清リン濃度4.5mg/dl以上)になってしまう恐れがあるからです。

その要因は、腎臓が正常に働かなくなることで、人体の恒常性が機能維持できなくなり、リンなどを含んだ老廃物などが体内に貯留してしまうことが影響しています。

また、高リン血症になると、ビタミンDの活性が低下してしまい、低カルシウム血症になります。そして、血液中のカルシウム濃度が減少すると、血清カルシウム濃度を一定に保つ働きがある副甲状腺ホルモンが分泌され、骨からカルシウムが血液中に溶出します。
その結果、骨がもろくなってしまいます。

さらに体内で余ったリンは、カルシウムと結びついて血管や心臓の石灰化を引き起こします。それによって動脈硬化が進行し、心筋梗塞などを引き起こすリスクがあります。
したがって、腎臓疾患の方はリン制限をしなければいけません。

リンの制限値について

タンパク質の摂取量が多くなると、リンの摂取量も多くなると言われています。
なぜなら、タンパク質1gあたりにリンが15mg含有しているからです。したがって、タンパク質制限を行うと自動的にリン制限も同時に行われていることになります。

慢性腎臓病(CKD)のリン制限については、早期から行うと好ましいとされていますが、慢性腎臓病ではどの段階でどの程度制限したら良いかは科学的根拠が不十分になっています。

しかし、透析期の腎臓疾患の方にはリン制限が行われています。血液透析(週3回)、腹膜透析の方は1日のリンの摂取量をタンパク質の摂取量(g)✕15以下になるようにコントロールします。

どんな食べ物にリンが多いのか?

リンはどんな食材に含まれるの?

リンは肉類、魚介類、乳類、卵、大豆製品などの食品に含まれている場合や、インスタント麺やレトルト品、ハム、ベーコンなどの肉加工品、はんぺんやちくわなどの練りものに多く含まれています。

また、リンの種類には2種類あり、食材そのものに含有されている有機リンと食品添加物などに含まれている無機リンに分けられます。

100gあたりのリンの量(七訂食品成分表)

魚類

田作り たたみいわし 干し桜えび 干し貝柱 からすみ 金目鯛 しらす(微乾燥品)
2300mg 1400mg 1200mg 610mg 530mg 490mg 470mg
生ウニ わかさぎ(生) しらす(生) するめ うなぎの蒲焼 マグロ(きはだ生)
390mg 350mg 340mg 300mg 300mg 290mg

内臓ごと食べる小魚やえびなどはリンが多くなります。
また、しらすの場合は釜揚げしらすよりも乾燥しらすの方がリンが多い傾向にあります。

肉類

豚肉 レバー 牛肉 レバー 鶏肉 レバー 豚肉 ヒレ(赤肉生) 豚肉 もも(赤肉生)
330mg 300mg 230mg 220mg 180mg
牛肉 もも(赤肉生) 豚肉 胃(ゆで) 鶏肉 筋胃(生) 牛肉 バラ(脂身つき) 豚肉 バラ(脂身付き)
340mg 140mg 140mg 130mg 130mg
豚肉 ひき肉 鶏肉 ひき肉 牛肉 ひき肉 豚肉 大腸(ゆで) 牛肉 第一胃(ゆで) 牛肉 大腸(生)
120mg 110mg 100mg 93mg 82mg 77mg

レバーなどの肝臓の部位はリンが多くなりますが、胃や大腸などはリンが少ない傾向にあります。

乳製品

パルメザンチーズ プロセスチーズ ヨーグルト(全脂無糖) 普通牛乳
850mg 730mg 100mg 93mg

乳製品の中ではどの食品もリンが多い傾向にありますので、頻度や量には十分注意して召し上がるようにしましょう。
低リン乳なども販売されていますので、必要に応じて活用しましょう。

乳製品のリン含有量

卵黄(生) 鶏卵(全卵)生 卵白(生)
570mg 180mg 11mg

リンは卵黄に多く含まれています。卵白にはリンは少なく、良質なタンパク質源になります。

種実類

松の実(生) アーモンド(乾) ピスタチオ(いり味付け)
680mg 460mg 440mg
ピーナッツ(大粒種) くるみ(いり) 日本くり(生)
380mg 280mg 70mg

種実類はほとんどの食材にリンが多いので注意しましょう。日本くりは種実類の中でもリンが少ない傾向にあります。

加工品

ロースハム ベーコン ウインナーソーセージ 焼きちくわ
340mg 230mg 190mg 110mg
はんぺん 蒸しかまぼこ 昆布巻きかまぼこ 魚肉ハム
70mg 60mg 55mg 50mg

加工品ではロースハムやベーコン、ウインナーなどの肉加工品が一番多く、かまぼこや魚肉ハムはリンが少ない傾向にあります。

加工品のリン含有量

飲みもの

豆乳 紹興酒 玉露 オレンジジュース(ストレート)
49mg 37mg 30mg 20mg
ビール(淡色) コーラ ほうじ茶 玄米茶
15mg 11mg 1mg 1mg
ウーロン茶 スポーツドリンク ブランデー ウイスキー 焼酎
1mg 0mg 0mg 微量 0mg

リンが多い飲みものでは、豆乳や炭酸飲料、果実ジュースなどが挙げられます。また、玉露など日光を遮って栽培されたお茶にはリンが多くなります。しかし、ほうじ茶や玄米茶などはリンの量が少なくなります。
スポーツドリンクにもリンは含まれません。

飲みもののリン含有量

アルコールでは、ビールや紹興酒はリンが高くなる傾向にありますが、焼酎やブランデー、ウイスキーなどの蒸留酒にはリンが微量かほとんど含まれていません。

リンを減らす食材の選び方

リンの少ない食品を選ぶ

最近は血糖値の上昇を緩やかにしてくれる低GI食品が浸透したことにより、玄米やライ麦、雑穀パンなどの精製度の低い穀物を召し上がる機会が増えました。
しかし、玄米や雑穀などにはリンが多く含まれていますので注意しましょう。

また、麺類ではスパゲッティーや蕎麦にはタンパク質の含有量も多いことからリンも多く含まれています。一方、そうめんやうどんはリンの含有量が少ない傾向にありますので、そのような食品を選べると良いですね。

また、有機リンには、肉、魚、卵、乳製品、大豆製品に含まれていますが、それぞれの食品には含まれているタンパク質の量に違いがあります。

例えば、同じくらいのタンパク質量であってもリンが多いものと少ないものがあります。
もちろん、リンが少ない食品を選ぶことも大切になりますが、それとともに、タンパク質量が多いわりにリンの含有量が少ない食品(納豆、鶏手羽、鶏ひき肉、豚もも肉、卵白、ブリなど)も意識できると良いでしょう。

このような食品を選べると栄養価を大幅に損なわずにリンの制限ができますので効率的に栄養素が補えます。

食品添加物などが入った食品を控える

肉加工品、練りもの、野菜や果物・魚の缶詰、短時間調理が可能なファストフード、手軽なインスタント食品には食品添加物が使われ、無機リンを含んでいます。
この無機リンには腸から吸収されやすい性質があります。

そのため、食事で摂取するリンの総量を抑えるためにも、食品添加物を使った食品はできるだけ控えるようにしましょう。

食品添加物は商品パッケージの栄養成分表示を見ても分からない場合が多くあります。
例えば、かんすい、乳化剤、結着、pH調整のように似た性質を持つ食品添加物はひとまとめにされています。

そのため、「リン酸化合物」という記載がされていないことがあります。
というのも市販品の栄養成分表示にリンの量を記載する義務がないため、摂取量を把握することが困難になります。
そして同じ食品でもメーカーによってもリンの含有量に差異があるのが現状です。したがって見た目では確認できない形で食品添加物が含まれていることも考慮する必要があります。

リンを減らす調理方法は?

茹でこぼし

カリウム制限の時と同様に茹でこぼしや水にさらすことはリンにも効果的です。
加工食品の場合は、カップ麺であれば麺を注ぐ最初の湯を一度捨ててから、二度目のお湯にかやくや調味料を入れるようにすると良いでしょう。

ハムやベーコンは調理前に熱湯で泳がせるようにして洗うのも効果的です。
ウインナーは、ひき肉が腸詰めされているため、そのまま茹でてもリンの含有量はあまり変わりません。
しかし、ウインナーに切り込みを入れてから茹でるとリンが溶出し、ウインナーに含まれているリンを減らすことができます。
また、断面が大きいほどリンの溶出する量が多くなりますので、ぶつ切りなどもおすすめです。

腎臓病食の注意点

茹でこぼし

腎臓病食の注意点として、血清リン値が上がらないようにタンパク質を減らし過ぎると低栄養になってしまう恐れがあります。
しっかり栄養素を補った上でリンの調整をしていきましょう。

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