腎臓病食の方の為の、料理でカリウムを減らす方法
目次
腎臓病の方の低リン・低カリウム食品のご紹介
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腎臓病食ではカリウムを減らそう
腎臓疾患の方がカリウム制限をする理由とは?
カリウムは身体の細胞内液に存在しているミネラルで、細胞内液の浸透圧を調整したり、ナトリウムを体外へ排出するなど身体に欠かせない存在です。
そして腎臓には電解質(ナトリウムやカリウムなどのイオン)のバランスを正常に保つ作用があります。また、水分や老廃物、電解質などを排出したり、必要とされる電解質や水分は再吸収して機能維持する役割もあります。
しかし、腎機能が低下すると体外のカリウム排出量が低下し、体内にカリウムが貯留してしまいますので、腎臓疾患の方はカリウム制限に配慮した腎臓病食に移行する必要があります。
なぜなら体内のカリウムが多くなると、高カリウム血症が起こり、悪心、嘔吐、不整脈などが現れ、さらに症状が悪化すると心臓の機能にも危険性が及んでしまうからからです。
また、日本腎臓学会のガイドラインでは採血でカリウムが5.5mq/Lを越えないようにコントロールすることが好ましいとされています。
どんな食べものにカリウムが多いの?
・果物類
アボカド、バナナ、メロン、キウイ、オレンジ
・芋類
さといも、さつまいも、山芋、じゃがいも、かぼちゃ
・野菜類
ほうれん草、枝豆、モロヘイヤ、ブロッコリー、にんじん
・豆類
きなこ、だいず(乾燥)、あずき(乾燥)、納豆、豆乳
・乳製品
低脂肪牛乳、濃厚牛乳、無糖ヨーグルト、普通牛乳
・種実類
ピーナッツ(乾燥)、アーモンド(乾燥)、くるみ(煎り)、ごま(乾燥)
どの程度カリウムを制限するのが良いか?
腎臓病にかかったばかりの時期は症状がなく経過しますが、慢性腎臓病(CKD)になってしまうと、体内の老廃物を排出することが困難になってしまったり、それとは反対に必要な成分が体外へ排出されてしまうこともあります。
また、電解質バランスの不均衡から、むくみが生じる場合がありますが治療によって症状を抑えることができます。ですが、進行すると腎臓が正常に働かなくなり、全ての臓器に影響を及ぼしてしまう可能性があります。
慢性腎臓病(CKD)になると食事療法が病状の進行具合によって6つ(ステージ1、2、3a、3b、4、5)のステージに分けられています。その中でも、カリウムの推奨量が決まっているステージがあります。
ステージ1〜ステージ3aまではカリウム制限の必要性はありませんが、ステージ3bではカリウムは1日2000mg以下に制限します。さらにステージ4と5になると1500mg以下まで制限するようになります。
調理でカリウムを減らす方法
水にさらす
カリウムは水に溶ける特徴がありますのでその性質を上手く利用します。
キャベツやレタスなどの葉物野菜や果物はできるだけ細かく切ってボウルなどに入れて水にさらしましょう。
カリウムは細胞内に含まれているので、そのようにすると細胞壁からカリウムが溶出されやすくなります。
水にさらす時間を長くしたり、頻繁にボウルの水を入れ替えたりするとカリウムが少なくなりますので腎臓疾患の方にはおすすめです。
手順
- 野菜や果物を切って水にさらします
- ボウルに水をはり、冷蔵庫で10〜20分水に浸しておきます。
- 水を替えるのは少なくても2回くらいを目安に。
水にさらした後はザルに移し、水分をしっかり切りましょう。(お湯)を使って加熱調理しましょう。
カリウム除去率
・葉茎菜類(キャベツなど)は短冊切りで12倍の水の量で約9%減少
・根菜類(玉ねぎなど)は薄切りで12倍量の水の量で約41%減少
茹でる
ほうれん草や小松菜などの葉茎類は、茹でる前に予め一口大の長さに包丁で切ってから鍋で茹でるのがポイントです。
そのようにすると野菜を丸ごと茹でるよりも野菜の切断面が多くなり、カリウムが溶出しやすくなります。
また、たっぷりのお湯で茹でると、より多くのカリウムを減らすことができます。
野菜はクタクタになるまで長時間茹でる必要はなく、美味しく食べられる固さで問題ありません。
ただし、じゃがいもやかぼちゃ、トウモロコシなどは茹でてもカリウムが多く残留しているため、摂取量に注意しましょう。
また、下ごしらえに電子レンジを使用する場合はカリウム低減作用はありませんので気をつけましょう。
手順
- 野菜は切ってから茹でます。
- 茹でる時間は葉茎類の場合は3〜5分、根菜類は10〜15分程度を目安にしましょう。
- 茹で汁はカリウムが多いので、全て捨ててから新しい水(お湯)を使って加熱調理しましょう。
カリウム除去率
・根菜類(人参、ごぼうなど)約20〜50%減少
・葉茎類(キャベツ、ほうれん草)約46%減少
・果菜類(おくら、かぼちゃ)約14〜40%減少
水気を絞る
水にさらしたり、茹でた野菜はしっかり水気を絞るようにするとより一層カリウムを除くことができます。
生のサラダや果物も工夫してカリウムを減らそう
サラダ
キャベツ、レタス、大根、玉ねぎなどの生で食べたい野菜は、ざく切り、みじん切り、千切り、薄切りなど野菜の種類やメニューに合わせてカットして水にさらしましょう。
断面を大きくすると水に触れる面積は増えるのでカリウムが溶出しやすくなります。
水にさらした後は、サラダはしっかり絞って水切りすることもポイントです。
ちゃんと水切りをしないと、サラダにかけるドレッシングの味が薄まってしまいます。
その結果、ドレッシングの量が多くなり、塩分の摂りすぎに繋がりやすい傾向にあります。
サラダはキッチンペーパーなどで表面の水をふき取ってから食べるようにしましょう。
果物
果物は茹でたり、水にさらすことが難しい種類もあります。
ですが、りんごのように水さらしが可能な果物もあるかと思いますので、できる範囲で水でさらしてカリウム制限をしていきましょう。
とくに腎臓疾患の方は、果物のなかでもカリウムが少ない種類を選ぶのもポイントです。
例えば、バナナ、アボカドなどの南国系の果物にはカリウムが高い傾向にありますが、りんごやみかんなどはカリウムが低めです。
また、缶詰などもカリウム含有量が少なくなります。しかし缶詰のシロップ液にはカリウムが多く溶出していますので飲まないようにしましょう。
飲み物のカリウムも注意しましょう
お茶、ジュース、乳製品などは種類によってカリウムが多い飲み物もありますので注意が必要です。
お茶
玉露や抹茶などはカリウムが多く含まれています。そして、抹茶などを使ったアイスクリームやスイーツなどにも気をつけましょう。
100mlあたりのカリウムの含有量は、玉露は340mg、抹茶(茶葉)は 2700mg含まれています。
とくにお茶の中でもカリウムが少ないのは麦茶やウーロン茶です。100mlあたりのカリウム含有量は麦茶は6mg、ウーロン茶は13mgとなっています。ですが、長時間浸けたお茶はカリウムの含有量が高いので注意しましょう。
ジュース
トマトジュースや野菜ジュース、果物のジュースは野菜や果実を濃縮してパックに詰めている商品が多いため、カリウムが多く含まれていますので注意が必要です。
100mlあたりのカリウム含有量は、トマトジュースは300mg、野菜ジュースは350mg、オレンジジュース(濃縮還元)194mgが含まれています。
一方、果汁がほぼ含まれていないジュース類はカリウムが少ない傾向にあります。
例えば、カルピスには100mlあたり10mgのカリウムが含まれ、コーラには1mg未満のカリウムしか含まれていません。
これらはカリウムが少ないので理想的ではありますが、糖質も多く含まれていますので頻度や量が多くならないように気をつけましょう。
乳製品
牛乳100mlあたりカリウムが150mgと多く含まれているため、腎臓疾患の方は摂取量に注意しましょう。
また、植物性タンパク質がとれる飲料としても利用しやすい豆乳にも気をつけましょう。
豆乳は100mlあたり170mgのカリウムが含まれているため、牛乳の代替えにはなりませんので注意しましょう。
コーヒー、紅茶
コーヒー(滲出液)のカリウム含有量は150ccあたり98mg、缶コーヒー100mlには70〜120mgと多く含まれています。
一方、紅茶(浸出液)は150mlあたりのカリウム量が12mgと少な目になっています。
ただし、コーヒーや紅茶のカリウム量は浸出する時間やコーヒー、茶葉の量などによっても違いがありますので気をつけましょう。